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高岳》大発見!蔵から見つかったのは、館の主が愛したステンドグラス。大正末期の建築の粋が詰まった「文化のみち橦木館(しゅもくかん)」。

2016/07/04  

名古屋市営地下鉄 桜通線高岳駅 1番出入口から国道41号線に沿って約10分ほど北上します。外堀通りを渡り、次の通りを右へ。
小学校を横手に少し歩くと見えてくる赤いスペイン瓦と黄土色の土壁が青空に映える洋館が「文化のみち橦木館(しゅもくかん)」です。

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「文化のみち橦木館」は1926年(大正15年)頃、陶磁器商「井元 為三郎(いもと ためさぶろう)」の邸宅として建てられた洋館付和館住宅です。
広い庭を囲むように洋館と和館、2棟の蔵と京都から移設してきたとされる茶室が建てられており、現在は名古屋市有形文化財、景観重要建造物に指定されています。

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施設名にもなっている“文化のみち”とは、名古屋城から徳川園にかけての近代名古屋の歴史的建造物が多く残っているエリアにつけられた名称です。
「橦木館」があるこの一帯も、大正から昭和にかけて名古屋の発展を支えた起業家たちの邸宅が数多く建てられていました。
時代が変わり、その多くが取り壊されていく中、「橦木館」は市民団体や名古屋市の手により、大正・昭和初期の歴史・文化を今に伝えると共に現代の新しい文化を発信する文化的施設として、その姿を残しています。

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屋根瓦と同じ赤いレンガのアプローチを進むと、たどり着く玄関は幾何学模様をモチーフにしたアールデコ風のステンドグラスに飾られ、重厚で格式ある雰囲気です。
黄色やオレンジ色のガラスを通して、温かみのある光が玄関にこぼれます。

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陶磁器商の邸宅として、商談相手など多くの人を出迎えた玄関ホール。
洋館部分の1階は受付とカフェ、2階は展示室として公開されています。受付で入館料(200円)を払い、2階に向かいます。

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2階の展示室には、当時輸出されていた陶磁器や使用されていた道具類が展示されると共に、名古屋の陶磁器産業の歴史や陶磁器の作製工程などが紹介されています。
戦前から戦後の名古屋では陶磁器産業が盛んで、海外へ輸出される陶磁器の7~8割を生産していました。
特に名古屋で絵付けされた陶磁器は、日本の伝統技法や絵柄を用いるだけでなく、西洋の絵柄を取り入れた物などバラエティーに富み、その技術の高さと品質は世界で高く評価されていたそうです。

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展示室の一角に飾られた一枚の写真。ダチョウに乗ったこの紳士こそが橦木館を建てた陶磁器商「井元 為三郎」氏です。
「井元商店(現 井元産業株式会社)」を創設し、アメリカや東南アジアに陶磁器の輸出を行ったほか、名古屋陶磁器貿易商工同業組合の組合長を務めるなど、名古屋の陶磁器産業の発展に大きく貢献した人物です。
「名古屋で最初に自転車を買った」というエピソードもあり、先進的で洒落た人物であったことが伺えます。

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そんな井元氏が流行を先取って、この邸宅に取り入れたのが玄関をはじめ、洋館内の各所を彩るステンドグラスです。
実はこれらのステンドグラスは、2007年(平成19年)に橦木館を管理していた市民団体の手によって、蔵から偶然、発見されたものです。
丁寧に梱包され、蔵の奥に大事に保管されていたステンドグラス。その数、なんと11点!
詳しい経緯は分かっていませんが、戦時中に破損を防ぐ為、またはステンドグラスに使われている鉛線を軍に没収されないように隠した為ではないかと考えられています。

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洗面所出入口には、「幸せの青い鳥」を思わせる2羽の青い小鳥とイチョウの木が描かれたステンドグラスが。
こちらは曲線が多く、モチーフも相まって柔らかで可愛らしい1枚です。

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娯楽室であった部屋のステンドグラスにはダイヤやクローバーなどのトランプ柄があしらわれています。
屋敷に訪れた客人たちとカードゲームをして楽しんでいたのでしょうか?
約90年の時を越えてきた美しいステンドグラスを眺めて、当時の人々の生活に思いを馳せます。

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玄関扉と同じ幾何学模様のステンドグラスの欄間(らんま)の向こうは平屋の和館です。

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洋館とはまた違った落ち着いた雰囲気の和館。天井が高く、広々としています。
はめ込まれたガラスから庭を望める雪見障子や部屋ごとに異なるデザインの建具など、ここにも井元氏のこだわりが見えます。

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一部の部屋は見学出来るだけではなく、貸室としても利用でき、展示会や演奏会など市民や観光客に向けた様々なイベントが定期的に開催されています。

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広い庭を一望出来るこの部屋は、元々はお客様をもてなす応接室と食堂だったそうです。
現在はカフェになっており、こだわりのコーヒーと共に軽食や季節の手作りスイーツをいただくことが出来ます。

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カカオの風味が香るガトーショコラ。
ぽってりと乗ったクリームの上のクルミが食感の良いアクセントになっています。

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暑い季節にはアフォガードもオススメ。
ハンドドリップで丁寧に淹れられた熱々のエスプレッソと、とろりと溶けたバニラアイスの風味が絶妙です。
明るいテラス席で味わうスイーツは最高の贅沢ですね。

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テラスや縁側から風にそよぐ庭園の四季折々の花や緑を眺めていると、いつもよりゆっくりと時間が流れているような気がしてきます。
住宅街の一角にまるで時間が切り取られたかのように佇む「文化のみち橦木館」。
館の主が愛したステンドグラスと共に新たな歴史を刻んでいます。

文化のみち橦木館
住所〒461-0014 名古屋市東区橦木町2丁目18
駅・アクセス名古屋市営地下鉄 桜通線高岳駅 徒歩約10分、なごや観光ルートバスメーグル「文化のみち二葉館」下車 徒歩3分
営業時間10:00~17:00
カフェのラストオーダーは16:30
定休日月曜日 (祝日の場合は直後の平日)、12月29日~1月3日
Webhttp://www.shumokukan.city.nagoya.jp/
電話番号052-939-2850

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