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那古野》火の神・水の神・安産の神・子育ての神・酒造の神!万能な神を祭神とする四間道(しけみち)の「浅間神社(せんげんじんじゃ)」は、たくさんの狛犬に見守られています。

2016/01/20  

名古屋市営地下鉄 桜通線 国際センター駅 2番出口から地上へ。名古屋駅に背を向けて、桜通を進み3番目の角を左に曲がると、あとはまっすぐ。進行方向左手側、名古屋市の街並み保存地区に指定されている四間道(しけみち)の入り口に森に覆われた「浅間神社(せんげんじんじゃ)」が見えます。

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浅間神社は全国に約1,300社あり、総本社は静岡県富士宮市にある「富士山本宮浅間大社(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ)」。ほとんどは富士山信仰の神社で、「富士本宮浅間社記」によると、富士山の噴火を鎮めるため、第11代垂仁天皇3年(紀元前27年)に浅間大神(あさまのおおかみ)を祭神として、富士山麓の山足の地にまつったことが始まりと伝えられています。「あさま」はアイヌ語で「火を噴く山」。富士山も「あさま山」と呼ばれていた説もあり、漢字渡来により「浅間」という漢字が「せんげん」と音読みで広まったようです。

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浅間大神とは、天照大神(あまてらすおおみかみ)の孫であるニニギノミコトの妻、木花咲耶姫命(このはなのさくやびめのみこと)とされています。木の花(桜)が咲くように美しい女神です。「このはなのさくやびめ」は、一般的には木花咲耶姫と表記しますが、『古事記』では木花之佐久夜毘売、『日本書紀』では木花開耶姫と表記します。こちらの浅間神社では木花開耶姫なので、『日本書紀』が元になっています。

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四間道の浅間神社。創建は不詳ですが、『尾張誌』によると、1647年(正保4年)現在の地に遷座したと伝えられています。

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鳥居が隣の民家に入り込んでいるように見えますが、うまく避けて建ててあります。四間道に向かって鳥居が建ち、その奥には本殿と拝殿、拝殿に向かって右側に神楽殿と社務所があります。

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雨の日、境内はしっとりとした神聖な雰囲気に包まれます。

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まっすぐ進んでいくと、狛犬たちが出迎えてくれます。まずは赤い前掛けをした二頭。狛犬に前掛けをする理由はいろいろありますが、木花開耶姫は子育ての神でもあるので、子どもの無事な成長を祈るためのものだったのではないでしょうか。

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口が開いている方が「阿形(あぎょう)」で獅子。前掛けのプリーツもキレイに入ってオシャレです。何だか得意げな表情に見えます。少し口が欠けてしまっていますね。

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口が閉じている方が「吽形(うんぎょう)」で狛犬。現在は二頭とも狛犬と呼ばれるようになりました。ちょっとおすましポーズ。こちらも口元に表面のひび割れが目立ちます。赤い前掛けをした狛犬、愛らしいですね。どことなく、子ども狛犬のような気がします。

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左手にある手水舎(ちょうずや)で身を清めます。屋根からも狛犬が見守っていますよ。左には井戸もあります。掛けてあるお手拭き用タオルの心くばりに、あたたかな気持ちになります。

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2組目の狛犬は前掛けなし。こちらはお父さん狛犬。1組目の狛犬と比べると勇敢で凛々しいお顔立ちです。

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こちらはお母さん狛犬。足に子どもの狛犬が抱きついています。「ねぇねぇ、お母さん!」と甘えているのでしょうか?とても微笑ましい光景です。
たくさんの狛犬たちに歓迎され、社殿へ進みます。拝殿へ。

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祭神である木花開耶姫命が富士山を神格化した浅間大神とされるようになった理由は、日本神話にありました。
木花開耶姫はニニギノミコトに求婚されます。山の神、父オオヤマツミは喜び、姉イワナガヒメと共に差し出しますが、醜いイワナガヒメは送り返されます。オオヤマツミは怒り、「イワナガヒメを妻にすれば命は永遠となり、木花開耶姫を妻にすれば繁栄する、と誓約したのに、木花開耶姫だけと結婚したので寿命ははかなくなるだろう」と告げました。ニニギノミコトとその子孫の歴代天皇の寿命が、長寿の神々のように長くないのはそのためです。

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その後、木花開耶姫は一夜で身篭りますが、ニニギノミコトは自分の子ではないのではと疑います。疑いを晴らすため、「お腹の子供が本当にあなたの子なら、無事に生まれるでしょう」と、出入口のない産屋に籠り火を放ち、燃えさかる炎の中、三柱の子を産んだのでした。母は強し。無事に子を産み疑いも晴れた、痛快エピソードです。

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「火を噴く山として富士山を崇める信仰があったこと」と「驚きの神話があり山の神の娘であること」から、富士山の神霊であると祀られるようになりました。水の神でもあると伝えられ、火に立ち向かって出産したことから「火に耐える水の神」と捉えるか、火中出産から「火をまとった火の神」と捉えるか…水から火までカバーし、向かうところ敵なしな女神様です。神話から安産の神、子育ての神ともされ、酒を醸造したことから酒造の神ともされています。

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浅間神社では、恵比須社、天満宮、秋葉社、津島社、稲荷社を祀っています。

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本殿の右横には、恵比須社、天満宮。

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秋葉社。

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津島社。

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本殿の左横には、稲荷社。樹木の緑と鳥居の朱のコントラストが美しいです。古代から、「朱」太陽・血などに通じるエネルギーの源。魔除けのチカラがある神聖な色です。

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鳥居は、神様が住む神域と人間が住む俗界を分け、神域の入り口を示すもの。1つずつくぐることで、神様に近づいていくという信仰があります。

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社の中にも朱い鳥居が見えます。両脇には、涼しげな目の狐。稲荷神の使いですね。こちらの前掛けもプリーツがバッチリ決まっています。

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境内には樹齢300年を越すクスノキやケヤキが7本あり、市の保存樹に指定されているそうです。浅間神社の厳格な雰囲気は、時間をかけて形成されていったものでした。

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木花開耶姫にちなんで桜の木をご神木としているので、こちらのおみくじは「爛漫(らんまん)桜咲くみくじ」。開くと桜の花のカタチになる可愛いおみくじです。

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7月には特殊神事「赤丸神事」も行われます。これは子どもの額に筆で朱のしるしをつけ、病気せず無事に夏を越せるよう祈りを込めた行事で、名古屋地方に古くから伝わる風習です。全国でも同じような虫封じの行事はありますが、名古屋特有のものです。

向かいの建物には、鳥居のマークがありました。
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控えめに小さく、低い位置にあり可愛い。浅間神社と何か関係があるのではないか、と思うところですが、なんと立ち小便禁止マークとのこと。
鳥居は神様がいる神聖な場所。そんな鳥居に粗相をしては罰が当たる…という良心に訴える、町人の知恵と遊び心だそうで、元々は関西から広まったようです。注意書きではなく、このような装飾をする茶目っ気が粋です。

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火の神・水の神・安産の神・子育ての神・酒造の神、美しくもはかなく、でも強靭な母としての顔を持つ女神。
そんな強烈な女神様が四間道を見守ってくれています。

浅間神社(せんげんじんじゃ)
住所 451-0042 愛知県名古屋市西区那古野1-29-3
駅・アクセス名古屋市営地下鉄 桜通線 国際センター駅 2番出口から地上へ。名古屋駅に背を向けて、桜通を進み3番目の角を左に曲がると、あとはまっすぐ。
電話番号052-565-0626


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